動物実験代替法への取り組み Alternatives to animal testing
日本化粧品工業会では、1991年に「動物実験代替専門委員会」を技術委員会内に設置し、動物実験代替法の開発と評価に向けて具体的な取り組みを始め、現在では動物実験代替法部会として、動物実験代替法の開発と実用化、普及活動に向けた以下のようなサポートを行っています。活動範囲も化粧品業界内のみではなく、行政や学会などとも連携しています。
また2022年にNext Generation Risk Assessment Working Group (NGRA WG)を設立し、新しい時代に向けた動物実験によらない化粧品・化粧品原料の安全性評価方法についても検討を開始しました。
医薬部外品ガイダンス検討会への参画
日本化粧品工業会は厚生労働省、国立医薬品食品衛生研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、医師、大学研究者等とともに、「医薬部外品・化粧品の安全性評価におけるガイダンス検討会」に積極的に参加し、動物実験代替法のガイダンス化に向けて検討を行っています。以下にこれまで発出されたガイダンスを掲載します。
評価項目 | 試験名 | 発出時期 | 文書名 |
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光毒性 | 3T3-NRU-PT法 | 2012年4月26日 | 皮膚感作性試験代替法および光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて |
光安全性 | ROS Assay法 | 2022年10月27日 | 医薬部外品・化粧品の光安全性試験評価体系に関するガイダンスについて |
皮膚感作性 | LLNA法 | 2012年4月26日 | 皮膚感作性試験代替法および光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて |
LLNA-DA法 | 2013年5月30日 | 皮膚感作性試験代替法(LLNA:DA、LLNA:BrdU-ELISA)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて | |
LLNA-BrdU-ELISA法 | 2013年5月30日 | ||
In vitro組合せ評価法 | 2018年1月11日 | 医薬部外品・化粧品の安全性評価のための複数の皮膚感作性試験代替法を組合せた評価体系に関するガイダンスについて | |
眼刺激性 | BCOP法 | 2014年2月4日 | 眼刺激性試験代替法としての牛摘出角膜の混濁および透過性試験法(BCOP)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスについて |
ICE法 | 2015年11月16日 | 眼刺激性試験代替法としてのニワトリ摘出眼球を用いた眼刺激性試験法(ICE)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスについて | |
STE法 | 2018年12月18日 | 医薬部外品・化粧品の安全性評価における眼刺激性試験代替法としてのウサギ角膜由来株化細胞を用いた短時間曝露法(STE法)に関するガイダンスについて | |
RhCE法 | 2019年6月24日 | 医薬部外品・化粧品の安全性評価における眼刺激性代替法としての再構築ヒト角膜様上皮モデル法(RhCE法)に関するガイダンスについて | |
経皮吸収 | In vitro経皮吸収試験法 | 2016年11月15日 | In vitro皮膚透過試験(In vitro経皮吸収試験)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンスについて |
急性毒性 | In vitro単回投与毒性試験法 | 2021年4月22日 | 医薬部外品・化粧品の安全性評価における単回投与毒性評価のための複数の安全性データを組み合わせた評価体系に関するガイダンスについて |
皮膚刺激性 | In vitro皮膚刺激性評価体系 | 2021年4月22日 | 医薬部外品・化粧品の安全性評価における 皮膚刺激性評価体系に関するガイダンスについて |
代替法研究助成の一覧表
日本化粧品工業会では日本動物実験代替法学会への研究助成を通じて、動物実験代替法の普及活動を支援しています。以下にこれまでの助成研究を掲載します。
年度 | 研究代表者 | 所属 | 研究課題 |
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2022年度 | 竹村 晃典 | 千葉大学大学院 薬学研究院 | モデル化合物(ジクロフェナク)の経皮吸収を考慮した肝毒性予測法に関する研究 |
2021年度 | 池田 英史 | 株式会社マンダム | In vitro皮膚刺激性試験の適用限界拡大に関する共同研究 |
2021年度 | 大野 彰子 | 国立医薬品食品衛生研究所 | ナノマテリアルの免疫毒性に関するh-CLAT試験法評価の研究 |
2020年度 | 片岡 伸介 | ライオン株式会社 | ヒト3次元培養口腔粘膜モデルを用いたin vitro口腔粘膜刺激性試験代替法の研究 |
2019年度 | 該当者なし | ||
2018年度 | 小島 肇 | 国立医薬品食品衛生研究所 | 再構築ヒト皮膚モデルを用いた感作性試験代替法 EpiSensA (Epidermal Sensitization Assay) |
2017年度 | 明石 満 | 大阪大学大学院生命機能研究科 | 真皮-表皮皮膚モデルを用いた皮膚刺激性試験の検討 |
2016年度 | 笠原 利彦 | 富士フイルム株式会社 | In chemico皮膚感作性試験代替法ADRA法(Amino acid Derivative Reactivity Assay) |
2015年度 | 相場 節也 | 東北大学病院皮膚科 | IL-8 Luc assay Phase IV |
2015年度 | 仲原 聡 | 丸石ラボ株式会社 | LabCyte CORNEA-MODEL眼刺激性試験 |
2014年度 | 相場 節也 | 東北大学病院皮膚科 | IL-8 Luc Assayに関するphase III validation |
動物実験代替法にかかわる近年の学会発表、講演、シンポジウム等
2023年11月28日
NGRA/NAMs開発の現状及び今後の展望
2022年11月18~20日
次世代リスク評価(New Generation Risk Assessment)への期待と課題
2022年10月13日
化粧品会社から見た動物実験代替法の国内外の最新動向
2022年6月10日
「最近の国際情勢を見据えた化粧品の安全性保証を考える」
2021年6月25日
動物実験代替法を用いた、医薬部外品・化粧品の安全性評価ガイダンスの作成状況について
2019年12月1日
医薬部外品申請における皮膚刺激性評価ガイダンス作成に向けた取り組み 第2報
2019年11月22日
化粧品の安全性をどう考えるか―動物実験代替法とのかかわりから
2019年7月11日
The Gap between Regulatory Framework and Safety Assessment -Skin irritation assessment for quasi drug and cosmetic ingredient-
粧工会がかかわった動物実験代替法に関する近年の論文
日本動物実験代替法学会への協賛等
日本化粧品工業会では、日本動物実験代替法学会にプラチナ会員として協賛を行い、動物実験代替法の研究開発に対して貢献を行ってきています。その長年にわたる貢献に対して感謝状をいただきました。