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サステナビリティ指針 Sustainability guidelines

化粧品は、美や健康を提供することに加え、心を豊かにし、人と社会の幸福に貢献するという価値を持っています。日本化粧品工業会(粧工会)では、世界中の消費者が安心して心豊かな化粧生活を送れる持続可能な社会の実現に向けて、これまで様々な取り組みを行ってきました。

2015年には「消費者課題」、「環境」、「人権・労働慣行」、「コミュニティへの参画」の4つを重点課題としたサステナビリティ指針を策定し、取り組みを強化してきました。
2022年に、化粧品産業界の貢献が特に期待されている課題を把握し、それらに焦点を当てた取り組みを進めるため、マテリアリティ評価を実施しました。マテリアリティ評価結果を踏まえ、2023年にサステナビリティ指針の改定を行い、人と社会の幸福への貢献を念頭に、環境課題や社会課題について幅広く網羅し方向性を明示しています。

サステナビリティ指針(第2版) 本文

はじめに

化粧品は、美や健康を提供することに加え、心を豊かにし、人と社会の幸福に貢献するという価値を持っています。日本化粧品工業連合会(粧工連)では、世界中の消費者が安心して心豊かな化粧生活を送れる持続可能な社会の実現に向けて、これまで様々な取り組みを行ってきました。2015年には「消費者課題」、「環境」、「人権・労働慣行」、「コミュニティへの参画」の4つを重点課題としたサステナビリティ指針を策定し、取り組みを強化しています。

近年、気候変動をはじめとする環境問題の深刻化、感染症、紛争など様々な社会課題に直面しております。さらに、多様性や人権の尊重の重要性も高まり、持続可能なより良い社会の実現に対する取り組みが求められています。粧工連は、化粧品産業界も社会の一員として、このような課題の解決に向けた取り組みをより一層強化していく必要があることを強く認識しています。そこで、化粧品産業界の貢献が特に期待されている課題を把握し、それらに焦点を当てた取り組みを進めるため、2021年にはマテリアリティ評価を実施しました。

今回のサステナビリティ指針の改定では、マテリアリティ評価結果を踏まえ、人と社会の幸福への貢献を念頭に、環境課題や社会課題について幅広く網羅し方向性を明示いたしました。

粧工連およびその傘下団体の会員企業は、持続可能な社会の実現へ向けた努力が、化粧品産業界に対する信頼性の向上、産業界の長期的発展、そして化粧品を通じた人と社会の幸福への貢献に必要不可欠であることを改めて認識し、サステナビリティ指針が示す方向性に従って自主的に活動を推進します。

1.環境

1.1 環境に配慮した商品やサービスの開発

商品のライフサイクル全体で環境や生物・資源に対する負荷の最小化をめざし、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、持続可能な資源の利用や、サステナブルな容器・処方設計、廃棄物の削減を通じ、より環境に配慮された商品やサービスの開発に取り組みます。

1.2 事業活動における環境負荷低減および環境保全活動

ライフサイクル全体で環境に与える影響を考慮し、環境に関する法令を順守することはもちろん、自主的な環境負荷低減および環境保全に取り組みます。

1.2.1 温室効果ガス排出の削減・持続可能なエネルギー利用

省エネルギー対策の実施、再生可能エネルギーの活用など、事業活動におけるCO2等の温室効果ガスの削減に取り組みます。

1.2.2 廃棄物の削減

適正な量の調達や生産、販売等の実施や、原材料の削減、再生利用及び再利用により、事業活動を通じて発生する廃棄物の削減に取り組みます。

1.2.3 持続可能な原材料の調達

森林などの生態系を保全するため、環境負荷の最小化に努めるとともに、資源循環につながる調達に取り組みます。また、児童労働・強制労働など人権侵害への加担を回避します。

1.2.4 生物多様性の保全

事業活動において直接的・間接的に生態系に悪影響を及ぼすことを回避します。さらに、生態系の保全や回復に貢献します。

1.2.5 水資源の保全

生産・製品使用時の水利用効率の改善や、水源の森林整備等を通じ、良質な水資源の保全に取り組みます。

1.3 事業地域の環境保全

地域の森林破壊や水質汚染、土壌汚染、土地劣化、大気汚染に加担しないことに加え、原材料や製品の適切な使用、管理及び回収等を通じて、環境保全に取り組みます。

2.人権

2.1 人権の尊重

人権や労働に関連する法令や国際ルールの順守はもとより、人種、皮膚の色、性別、年齢、言語、財産、国籍または出身国、宗教、民族または社会的出身、政治的見解やその他の見解、障がい、健康状態、性的指向などによるすべての差別や虐待を行いません。さらに、事業影響の及ぶ範囲において直接的・間接的に人権・労働問題を引き起こす、或いは加担・助長する状況を回避します。

2.2 公平で包摂的な世界の実現への貢献

年齢・性別・障がい・民族・人種・出自・宗教等に関わりなく、多様性、人格、個性が尊重され、多様な人材の活躍を可能にする公平でインクルーシブ(包摂的)な世界の実現に貢献します。 自社における取り組みに加え、サプライヤーとの連携、広告表現における配慮にも取り組みます。

3.消費者課題とイノベーション

3.1 商品の安全性・品質の確保とコミュニケーションの推進

最新の科学に基いた、原料や製品の適切なリスク管理を通じて、高いレベルの安全性と品質を保証します。また、成分や製品を安心して使用するために必要な情報を適切に伝えます。

3.2 製品・サービスを通じたQOLの向上

製品やサービスを通じて、肌や髪の健康を維持し、セルフケアによる安らぎや心地よい化粧体験を提供し、心身を美しく高め、社会的交流を促進することにより、お客様ひとりひとりのQOLの向上に貢献します。

3.3 価値創造的技術開発

生活の質の向上や地球環境の保全を含む持続可能な社会の実現に向けて、新たな価値の創造を継続的に追求し、革新的な製品やサービスを提供します。

3.4 公正なマーケティング、適切な情報提供

様々な機能や効果の製品・サービスの中から、お客様に最適なものを選択して適切にお使いいただくために、真実と事実に基いた公正な情報をわかりやすく伝えます。

3.5 お客様からの問合せへの適切な対応と、お客様のご意見による改善の推進

問合せやご意見に対して、お客様の状況を理解し事実を把握して誠実に対応します。また、お客様の声を製品・サービスの開発や改良・改善に活かしていきます。

4.公正な事業慣行

4.1 データセキュリティの確保

個人・顧客情報はもちろん、研究データ、財務情報についても、適正に管理し、不適切な利用および漏えいや紛失などが発生しないよう、管理を徹底します。また、サイバー脅威の拡大に備え、更なるセキュリティ対策を継続的に実施します。

4.2 情報開示の充実

社会やお客様の要請に応え、財務情報だけでなく、非財務情報についての開示を質と量共に充実させます。さらに、持続可能な社会の実現に関する情報を積極的に提供します。

4.3 化粧品業界における持続可能性(サステナビリティ)に関する知識向上

持続可能な開発目標(SDGs)における重要項目を含め、化粧品業界に特に貢献が期待されるサステナビリティに関する課題について、課題解決のため最新の情報や知識を習得します

4.4 原料規制の変化への対応

サプライヤーとの取引、商品開発や商品の提供を継続的に実現するため、国内外問わず新たな知見により更新される化粧品原料や化学物質の規制に対して、速やかに対応します。

5.労働慣行

5.1 多様性を尊重した労働環境の整備

ジェンダーや障がいの有無、国籍などに捉われず、多様な価値観を認め合い、誰もが働きやすい職場環境づくりを目指し、やりがいを持って、心身共に健康・安全に働き続けられる労働環境づくりを推進します。また、基本的人権を尊重し、雇用における差別や不合理な格差が生じない環境を整備します。

5.2 対話の促進

職場において、労働環境や労働条件に関しての話し合いが行える仕組みを設け、組織と従業員双方にとって有益な職場づくりを推進します。

5.3 職場における人材育成及び訓練

一人ひとりの個性と能力を最大限に引き出せる人材育成制度の整備を通じて、企業の競争力を高め、誰もが主体的にキャリア形成できる社会の実現に貢献します。

6.コミュニティへの参画

6.1 コミュニティとの対話・貢献

事業を行う地域の一員であることを強く意識し、地域社会との対話によって相互理解を深めます。雇用の創出や所得の向上に寄与するとともに、災害への備えや支援、教育活動等により、地域の発展や次世代の育成に貢献します。

6.2 文化・芸術・デザインの発展や遺産保護への貢献

人々の心豊かな生活に寄与するため、化粧文化をはじめとする文化・芸術・デザインの発展や、遺産保護に貢献します。