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化粧品の有用性開発への取り組み Challenge for development of efficacy with cosmetics

日本化粧品工業会では化粧品の優れた有用性をより多くの方に知っていただけるように活動を進めています。化粧品の有用性について科学的な視点から検討を行い、多くの消費者が化粧品効能について理解し、より豊かな化粧生活を楽しむことができるように努めています。
現在は「サンスクリーンの長期間の継続的な使用をすることにより、光老化(後述)を予防する」効能の取得を目指して活動を行っています。

化粧品新規有用性項目の獲得

日本国内では以前は化粧品効能が55項目に限定されていましたが、化粧品に表示できる新たな効能範囲として「乾燥による小ジワを目立たなくする。」が2011年に追加されました。この効能については日本化粧品工業会(旧日本化粧品工業連合会)が厚生労働省に要望し、日本香粧品学会が作成した「化粧品機能評価法ガイドライン」に基づく試験を行うことにより表示することができるようになりました。

サンスクリーンの効能に関する試験法

日本におけるサンスクリーンの効能に関する評価法は、現在はInternational Organization for Standardization (ISO)で公表されている国際規格に沿って日本化粧品工業会自主基準として策定しています。この自主基準は国内の消費者が正しくサンスクリーンを選択することができるように国内でサンスクリーンを販売するすべての企業に対して遵守することとし、厚生労働省、消費者庁に認められています。
日本化粧品工業会技術委員会フォトプロテクション部会はISO TC217にプロジェクトリーダーとしても加わり、積極的に国際規格の制定に係ってきました。2021年には新たに紫外線防御効果の耐水性試験方法と表示方法が追加され、より多くの消費者が耐水性のある商品を選択しやすくなりました。

サンスクリーンにより光老化を予防する効能

UVAやUVBによる急性の皮膚反応は一定期間たてば元に戻りますが、繰り返し紫外線を浴びることでしわやしみ、皮膚がんが誘発されます。長い時間をかけて真皮マトリックスの量的質的な変性、表皮の変化がおこり、皮膚の表面に深いしわや表皮が厚くなる表皮肥厚が生じ、さらに不均一なメラニン色素の生成や蓄積も相俟って皮膚は黄色味を帯び、シミが現れます。このような長期間の紫外線曝露による皮膚の変化は「光老化」と呼ばれ、加齢に伴う皮膚の変化(自然老化)とは明らかな違いがあるため区別されます。光老化は予防可能であることも自然老化とは異なっています。顔の老化の8割は太陽光によるものとも言われています。

このため、光老化を防ぐには、強い紫外線に曝されるレジャー時だけでなく日常生活においても皮膚を紫外線から保護することが効果的です。皮膚の防御は帽子や衣服で覆うこと、また顔面や露出する部位にはサンスクリーンを継続的に使用し皮膚を直接紫外線に曝さないすることが効果的です。長期使用による光老化の予防効果や、皮膚がん発生の予防効果などに関する科学的エビデンス等も報告されてきています。

日本化粧品工業会では光老化をサンスクリーンにより予防することができることを化粧品の効能として商品訴求できるように活動を進めています。

第46回日本香粧品学会 パネルディスカッション
開催日時

2021年6月26日

タイトル

紫外線による皮膚の老化を防ぐサンスクリーンの新効能の意義と考え方―産官学の視点から―

Fujiwara, R. et.al., (2022)
The Effect of On-Site Application Density on the UV Protection Efficacy of Sunscreens. Photodermatol Photoimmunol Photomed, 38, 259-265