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エッセイ

「感じる力」を育む

渡邉 小百合(EQコンサルタント・人材活性プロデューサー)
2014年10月15日

私の好きな言葉に「感性命」という教えがあります。感性とは命そのものであり、言い換えれば「まぎれもない自分」のことを指すようです。感性が鈍いということは、命が鈍いということであり、知性や理性では命はつくれない。想いが人生を決めていく!感性は命であるという教えのようです。感動や情熱その人の強い想いこそが、生きていくうえでの根っこの部分になるのではと思っています。そこで、根っこの部分を育むことの大切さに注目し、感性を磨くための方法として、EQをご紹介します。

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、感情知能であり、感情を上手く扱う能力です。感情は思考や行動に重大な影響を与えているので、感情の大切さを知って感情に注目し、感情の扱い方が上手になることで、よりよい結果や成果を生み出すことができます。また、EQは生まれながらにして誰もが持っている能力ですが、開発可能な能力であり、伸ばして高めることができる能力です。「EQは人生の質を決める」といわれており、EQが皆さまの幸せを手に入れるためのきっかけになっていただければ幸いです。

EQを発揮するには、気持ちを感じる(感情を自己認識する)ことが何よりも大切です。感情を正しく認識できなければ、感情を上手く調整することは難しいからです。「気持ちを感じる」ということは、「今、どう感じているか」を自分に問いかけて心の声に耳を傾けることです。自分の気持ちに注目して、気持ちが分かるようになると、相手の気持ちにも意識が向いて、相手の気持ちを分かろうとします。人は、自分の気持ちを分かってくれる人に心を開き、相手の気持ちを知ろうとするので、お互いの間に信頼関係が生まれてきます。

そこで、「気持ちを感じる」力を高めるためのトレーニング法をお伝えします。キーワードは、「How do you feel now?(今の気持ちは?)」です。これを一日最低3回は自問自答して、自分の気持ちを感じ、表現してみましょう。自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な人は、今の気持ちを色に例えてみましょう。例えば、「今の気持ちは、温かいオレンジ色です。その理由は、お客さまから褒められて勇気づけられたからです。」「今の気持ちは、灰色です。その理由は、空がどんより曇っていて、仕事も提出期限に間に合うか不安だからです。」等、自分の気持ちを相手に言葉で表現できるようになります。ここで大切なことは、なぜその色なのか、その気持ちが沸き起こった原因と向き合って、それを分かりやすく相手に伝えることで、自分の感情状態を認識して把握する力が高まってきます。このように、自分の気持ちに注目することは、自己の存在を認識することであり、己を知って己を活かすための基本といえます。また、それは自己理解を深めますので、他者理解を促して自己変革を実現するための礎といえるでしょう。

次に、EQには、気持ちをつくる(目的にあわせて、その場に相応しい感情を生み出す)という働きがあります。そこで、今日から使える!「前向きな気持ちのつくり方」についてお伝えします。下記1~5の○○に当てはまる言葉を具体的に考えて、あなたの「ポジティブリスト」を作成してみましょう!

  1. わたしは、○○○を見ると嬉しい!と感じます。(視覚)
  2. わたしは、○○○を聞くと楽しい!と感じます。(聴覚)
  3. わたしは、○○○の香りを嗅ぐと、幸せな気分になります。(嗅覚)
  4. わたしは、○○○を食べると、ご機嫌になります。(味覚)
  5. わたしは、○○○に触れると、落ち着きます。(触覚)

「ポジティブリスト」は、自分自身を活かすための感情スイッチです。あなたの気持ちが落ち込んだ時やストレスが溜まっていると感じた時に、これらを実際に行動することで、精神的に元気な状態をつくることができます。また、これを活用することで、五感が鍛えられて、気分転換も上手くできるようになります。そうすることで、心の平安が得られ、物事への取り組みにも活力が湧いてくるでしょう。このように、前向きな気持ちをつくるための方法を知って行動することは、心を開放してポジティブな気持ちをつくり、周囲と良好な人間関係を築くうえでも重要といえます。あなたの大切な人の感情スイッチを知って、その人のボタンを押してあげることができたら、その人を笑顔にして、相手との心の距離を近づけることもできます。

人は人との関係の中で感情が沸き起こり、それを上手く調整し活用することで共に育ち、人として成長すると思っています。EQを発揮して感性を磨くということは、感じる力を育むことであり、自らに輝きを与えて命を生かすことではないでしょうか。