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やさしい技術解説
肌を彩る
化粧品に配合される色材
色材は着色剤とも呼ばれ、皮膚や髪に好みの色彩を与え、健康で魅力的な容貌を作る魔法の力を持っています。
化粧品に配合される色材は大きく有機合成色素、天然色素、無機顔料、高分子粉体に分かれます。有機合成色素はさらに染料、有機顔料に分類されます。
染料は水や油、アルコールなどの溶媒に溶解し、化粧品基剤中に溶解状態で存在し彩色できる物質です。水に可溶なものを水溶性染料、油やアルコールに可溶なものを油溶性染料とよびます。染料にはアゾ系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料などがあります。有機顔料は構造内に可溶性基を持たず水や油などに溶解しない有色粉末で、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料に大別できます。有機顔料は鮮やかな色が「売り」ですが無機顔料と比べると退色する傾向があります。
天然色素は動植物由来のものと微生物由来のものがあります。人参、トマト、ベニザケなどに存在する黄-橙赤色はカロチノイド系の色素で、ハイビスカス、ベニバナなどには黄-赤紫色のフラボノイド系色素が存在します。これらの天然色素は有機合成色素に比べて着色力や耐光性に劣るものが多いのですが、天然物ブームによって見直されています。
無機顔料には体質顔料、着色顔料、白色顔料、真珠光沢顔料などがあります。体質顔料は着色というより光沢や使用感の調整に使われます。滑石(タルク)や雲母(マイカ)などが使われています。ベンガラや黄酸化鉄などの着色顔料は色調を調整します。酸化チタンや亜鉛華などの白色顔料は色を調整するだけではなく、シミやソバカスを隠すのにも使います。酸化チタンや酸化亜鉛の超微粒子は紫外線の防御にも使われています。
真珠光沢顔料はニシンなどの鱗から取った魚鱗箔が使われていた時代もありますが、現在では酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)が主に使われています。シャボン玉は光の干渉によって虹色になりますが、雲母チタンはこの原理を使って色を出しています。具体的には雲母に被覆している酸化チタンの膜厚を変えて色々な干渉色を出しています。
高分子粉体でも屈折率の異なる高分子を交互に積層させて干渉色を出すことができます。これがラメです。それ以外にも重合技術の進歩によって球状粒子が製造可能となり、ナイロンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダーが用いられています。
有機合成色素や天然色素はヘアダイなどのヘアカラーリング剤および化粧水や美容液にうっすらと色を付ける場合に使われています。無機顔料および有機顔料はメイクアップには必須で、ファンデーションの色相、彩度、明度をコントロールしたり、カバー力をコントロールしたりします。口紅やネイルエナメルでは色のもちや発色などを考え、顔料と染料を組み合わせて配合されることもあります。
このように色材は化粧品製剤のなかで重要な役割を果たしています。