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ナノマテリアルについて
はじめに
化粧品の原料として、酸化チタンや酸化亜鉛は、40年以上前から配合されています。これらの原料は、被覆力にすぐれ、紫外線散乱効果も高いため、主にファンデーションやおしろい、日焼け止め製品に配合されています。近年、その機能をより高めるために、粒子の大きさを小さくする研究が進められ、その結果、1990年ごろからは、微粒子と呼ばれる酸化チタンや酸化亜鉛が化粧品に配合されるようになりました。これらを配合した製品としては、塗布しても肌が白浮きしにくい日焼け止め製品がその代表例です。
一方で、「ナノ」あるいは「ナノマテリアル」ということばが、2004年ごろから新聞紙上でも目にされるようになりました。「ナノ」とは、「1 mmの100万分の1の長さ」を表すことばです。これに「原料」の意味をもつ「マテリアル」を結合させた「ナノマテリアル」は、「ナノ原料」という意味です。ナノマテリアルについての定義は、国際的にも検討されているところですが、大きさが100 nm以下の小さな物質を指すことばとご理解いただければと思います。
現在までナノマテリアルが、人の健康に影響を及ぼすとした報告はありません。しかしながら、一方で、ナノマテリアルは、粒子の大きさが小さいため、従来の材料とは異なる特性や形状を有することにより、人への健康被害を懸念する指摘もあります。
微粒子の酸化チタンや酸化亜鉛は、ナノマテリアルに相当する大きさであることから、消費者の安全性を確保するために、日本化粧品工業会におきましても、2004年からナノマテリアルに関する調査・研究を進めています。
なお、ナノマテリアルと呼ばれる化粧品原料には、酸化チタンや酸化亜鉛の他に、シリカ(不定形無水ケイ酸)、アルミナ(酸化アルミニウム)、カーボンブラック等があります。これらの原料は、いずれも原料製造段階ではナノマテリアルであると考えられますが、原料の保管段階あるいは化粧品中では、粒子同士が凝集し、おおむね100 nmを超える大きさで存在しており、このことはナノマテリアルの調査・研究を進める上で常に念頭においておく必要がある点と考えております。
このたび、消費者の方々に情報提供を行うとの観点から、私ども日本化粧品工業会のHPにナノマテリアルに関して集めた情報や研究結果をご紹介させていただくことになりました。化粧品におきましては、ナノマテリアルのうち、酸化チタン及び酸化亜鉛の使用頻度が高いことから、当面はこれらを中心とした情報提供となりますが、今後も収集した情報を追加してまいります。
ご参考にしていただければ幸いです。
ナノマテリアルに関する調査
日本化粧品工業会では、技術委員会安全性部会が中心となり、ナノマテリアルに関する調査報告書をこれまで作成してまいりました。この作業は、今後も引続き行い、公表してまいりますが、現時点までに作成したものは以下のとおりです。
- 2024年
- 2023年
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
- 2009年
- 2008年
年次調査報告
学術的な情報発信
日本化粧品工業会では、学会発表、論文発表等を通じて、学術的側面からの情報発信も行っています。
2004年には、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託調査研究「ナノ原料を使用した化粧品の安全性評価システムに関する基礎調査」を受託しました(実施期間:2004. 12. 25‐2005. 3. 18)。この研究は、化粧品におけるナノマテリアルの使用実態及びナノマテリアルの粒子の形状や表面処理剤等の基礎的情報に関する調査を目的としたものであり、日本化粧品工業会の傘下会員及び化粧品原料業者2社の協力を得て実施されました。この研究成果につきましては「ナノ原料を使用した化粧品の安全性評価システムに関する基礎調査」報告書(平成16年度)として公開されており、さらには、第30回日本香粧品学会(2005. 6. 2-3、東京)のシンポジウムにおいて、「ナノ粒子-化粧品の安全性」の演題で講演するとともに、同標題で日本香粧品学会誌 29: 225-231, 2005に掲載されています。
第36回日本トシキコロジー学会学術年会(2009. 7. 6-8、盛岡)においては、ナノ酸化チタンの発がん性について検討し、ナノ酸化チタン被覆処理品及び未処理品を皮膚に適用しても発がんプロモーション作用を示さないことを明らかにした研究成果を発表しました。この研究成果は論文としても報告しております(Food and Chemical Toxicology 49: 744-749, 2011)。なお、この論文は、欧州の消費者安全科学委員会をはじめとする公的機関からの報告書等でも引用されています。
日本薬学会第133年会(2013. 3. 27-30、横浜)では、一般シンポジウム「化粧品の機能性と安全性を支える科学」において、「ナノマテリアルと化粧品の現状と将来」の演題で、日本化粧品工業会の取り組み(皮膚上での存在状態解析、酸化チタンの毒性評価など)、各国の規制などについて報告し、ナノマテリアルを配合した化粧品の安全性に問題ないことを示しました。その内容は誌上シンポジウムとして、同標題にて薬学雑誌 134: 39-43, 2014に掲載されています(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/ 右上のボックスに論文標題を入力して検索出来ます)。
日本薬学会第136年会(2016. 3. 26-29、横浜)では、一般シンポジウム「ナノマテリアルの社会受容に向けた安全性評価の最新動向」において、「化粧品領域におけるナノマテリアル」の演題で、ナノマテリアルに関わる研究動向、化粧品に関わる規制、業界活動について報告し、日本化粧品工業会としてはナノマテリアル配合化粧品の安全性には問題ないと考えていることを示しました。
また、以下の講演、論文発表においても日本化粧品工業会の取り組みが紹介・報告されており、これらの発表に当たっては日本化粧品工業会も協力して参りました。
- 化粧品とナノマテリアル. 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託研究「ナノ粒子特性評価手法の研究開発」調査報告会, 2010. 7. 16. 東京.
- 化粧品とナノマテリアルについて. 日本産業皮膚衛生協会会員研修会, 2010. 10. 21. 京都.(発表内容は、日皮協ジャーナル 33:264-270, 2011に掲載)
- Cosmetics and Nanomaterials. The 3rd International Symposium on Surface and Interface of Biomaterials in conjunction with the 5th Annual Meeting of the Nano Biomedical Society. 2011. 7. 12-15. Sapporo.
- 化粧品におけるナノマテリアルの安全性確保に向けた取り組み. Colloid & Interface Communication 36(4):6-7, 2011.
- 化粧品におけるナノマテリアルの安全性評価. 色材協会誌 85:384-388, 2012.
結論
日本化粧品工業会と致しましては、これまでに調査・研究してまいりました結果から、ナノマテリアルを配合しましても化粧品の安全性に問題はないものと考えております。ただし、最新の研究発表や評価技術の進歩にあわせた検証が必要であるとの考えから、今後もナノマテリアルの安全性に関する調査研究を進めてまいります。